おしゃべり会報告!「家族」その1
短日のみぎり、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
パールリボンキャラバンも無事終了しましたが、今回は9月の残暑の折に行われましたワンステップおしゃべり会「家族」の報告です。
担当はおしゃべり会「家族」を企画した小倉です。(ちなみに私は、平成27年6月に夫が肺腺癌EGFRステージⅣ診断の正真正銘の患者家族です。)
ワンステップのおしゃべり会では、初期の頃から「家族のグループ」がありました。患者本人と一緒に参加する人もいれば、本人は来ずに家族だけで参加する人もいます。家族の内訳としては「配偶者」が一番多くて、「親」「子ども」「兄弟姉妹」「その他大切な人」といろいろです。そこで、家族もまた様々な戸惑い、不安を抱えていることがわかりました。
そこで「家族」をテーマとして初めて取り上げることになりました。
ゲストスピーカーとしてお招きしたのは、「マギーズ東京」の3名のスタッフです。



3名いらしてくれたので、3回にわたって報告をお届けします。初回はがん看護専門看護師の梅田恵さんのセッション、2回目は心理士の福地智巴さんのセッション、そして3回目はマギーズ東京看護師の木村晶子さんのセッションです。(マギーズ東京については、3回目の木村さんのお話しの中で詳しく出てきます。)
ということで、初回の今日は、梅田さんの「患者も第二の患者です」のセッションの様子をお届けします。


通常のおしゃべり会ですと、先ずは講演が始まるのですが今回はちょっと違います。
最初に「アイスブレイキング」というワークショップでは必ず使われる参加者の緊張を溶きほぐす時間が設けられました。

近くの席の人とグループになってお互いの自己紹介をします。「ニックネーム」や「最近あった家族とのいい話」など、会場はいきなり和やかな雰囲気に包まれました。
梅田さんのお話しは、サザエさん一家を例にした「家族」の定義の再確認に始まり、家族は「大きな支援の対象」でもある一方で「大きなストレスの対象」 にもなる可能性があること。

具体的に家族にはどんなストレスが生じるのか。がん患者が勇気づけられた他者にはどんな人がいるのか、がん患者を勇気づけられた言動にはどんなものがあるのかといった調査結果の紹介。そして、家族であっても文化的、性格的な要因から「コミュニケーションの歪」は避けることができず「がんの体験が、あらたな家族のコミュニケーションを必要とするようになる」と結ばれました。



私自身、常日頃感じていることを、改めて整理してもらったような非常に納得ができるお話でした。また、私は近くに他の家族がいないため、ほとんど一人で背負わなければならないことに孤独を感じていました。でも、見方を変えれば他の家族がいると家族間での意向の違いが生じる可能性もあります。一人には一人の利点があるというのは新たな気づきでした。
ここで、第一回目のおしゃべりタイムです。梅田さんから投げかけられた「問い」は・・・

いきなり聞かれて、一瞬会場は怯んだようです。私も真剣に考えました。その結果、思いついたのが、夫とのお金に関する感覚の違いでした。(私は、治療にお金がかかるので節約を心がけたいのに、夫は、お金が無限にあると思っている。)私と同様に、普段何気なく感じている家族の不思議を改めて考え、それ周りの人に話すことによって新たな「家族と患者の考えのズレ」に気づいた人も多かったようです 。
「家族の不思議」参加した方からでた意見です。
※家族の「病気に対しての向き合い方」に不思議・ズレを感じる方がいました。

Aさん(患者)
他人事のように楽観的なことがあって、そこが嫌。わかってくれないなあと思う
Aさんの意見を聞いて、同じ不思議・ズレを感じながらも、異なる感情を持つ人もいました。
Bさん(患者)
同じことが起こっていますが、私は感じ方が違います。家族が楽観的であることが私を助けています。当事者の自分だけだと、病気だけのことを考えてしまう。
※就労に関しても話は出ました。就労の継続について、「お金の問題ととらえる」患者と、そう考えない家族の姿がありました。
Dさん(患者)
治療がなかなか難しくなると、仕事ができなくなり、稼げなくなる。自分が迷惑な位置にいるとさいなまれる。
Eさん(家族)
夫は働き続けている。自分が病気であることを認めたくない、本当に病人になってしまうと感じているのかもしれない。つらいのであれば仕事を休めばいいと私は感じている。
今までおしゃべり会のおしゃべりタイムはフリートークで行ってきましたが、今回は講演を聞き「家族の不思議」というテーマで話しをして、お互いの「気づき」を共有しました。梅田さんのお話しとおしゃべりを受けて、福地さんの「本人・家族間のコミュニケーション」についてのセッションに入って行くのでした。(続く)
